人は『いつも通りから変化する』ことが潜在的に苦手だといいます。三日坊主という言葉が当たり前に使われていることを考えれば、たしかにそうなのかもしれません
『今度こそ習慣化に成功したい』と思っているのなら『継続する技術』というアプリを使ってみるのはどうでしょうか。
アプリ『継続する技術』について
『継続する技術』(以降『継続』)は、ただ続けることに焦点を絞ったシンプルなアプリケーションです。筋トレや資格勉強などの習慣化(ルーティーン化)したいことを、諦めずに続けるためのサポートをしてくれます。
使い方はごくごく簡単で、継続したいことを設定→実行できたらボタンをタップ、これだけです。
『継続したいこと』を完了したらタップ、を30日繰り返したら目標達成になります。
スクリーンショットを見て気づいた方もおられると思いますが、『継続』では、1度に1つの目標しか登録できません。2つ、3つと同時進行することはできないということです。
数多くある習慣化アプリのほとんどでは、複数の目標を同時に管理することができます。なら、『継続』は劣っているのか、と思うかもしれませんが、それは間違いです。
むしろ『目標は1度に1つだけ』という仕様は、『継続』の最大の特長なのです。
参考書籍は『「続ける」習慣』
『継続』には、『目標は1度に1つだけ』の他、『とにかく第一歩から始める』『楽に動けるタイミングを考える』などといった、継続するためのコツが組み込まれています。
これらの元となっているのが、アプリ内で参考書籍として挙げられている『「続ける」習慣』です。
『「続ける」習慣』で書かれているのは、物事を習慣化するための具体的な方法やその仕組みです。てんこ盛りに詰め込まれているため説明は省きますが、そのうちの大きな一つが『習慣化の目標は1度に1つだけ設定する』なのです。
それ以外にも、『継続』には『「続ける」習慣』を元とした作りを多く発見することができます。それを示すため、これ以降は『「続ける」習慣』の内容と照らし合わせながら、アプリの紹介をしていこうと思います。
アプリ『継続』のすごいところ
すごくシンプルな操作方法と画面
繰り返しになりますが、『継続』の操作方法はかなりシンプルで簡単です。直感で操作できるのでストレスを感じることがありません。
『「続ける」習慣』では、習慣化の際は日々の記録をシンプルに記録するべきとされています。アプリの『継続することができたらチェックする』はその最たるものでしょう。
しかも、簡単とはいえ、継続した期間が目に見えてわかるよう工夫がされています。ボタンの周りの丸が、1日ずつ青く塗られていくのを見ると、自然にモチベーションがあがります。
やる気を生み出す仕組みがある
『「続ける」習慣』では、挫折を防ぐ12の『継続スイッチ』が挙げられています。そのうちの2つ『褒めてもらうこと』『遊び心を持つこと』を、この『継続』が担ってくれます。
このアプリでは通称『ピクトさん(もしくはピクトさん)』と呼ばれるキャラクターが度々登場します。非常口の看板で出口に走っている人です。
このピクトさんが、毎日目標を達成するごとに、ナイスな一言でユーザーを応援してくれます。なんだそんなことか、と思うかもしれませんが、メッセージはみな前向きで、ユーザーの背中を押してくれます(人によっては最大の利点だと思うので、できれば画面も載せたかったのですが、前知識なしで使ったほうがより楽しめるので控えておきます)。
また、当日に目標を実行できていなかったときに備えて、スマホの通知機能でリマインダー設定をすることもできます。これにより、実行し忘れたまま一日が終わった→また忘れた→もう面倒くさいなあ→挫折、という流れを断ち切ることができます。
なお、通知機能は自分で好きなようにいくつでも登録でき、必要がなければオフにすることも可能です。
前日分が入力できる
書籍『「続ける」習慣』では、イレギュラーな出来事に振り回されてしまうことが、挫折の大きな理由の一つであるとしています。残業や急な用事など予定外のことに対応しているうちに、いつの間にかやらなくなってしまっていた、という経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
これを解決するための方法が『行動の例外ルール』です。習慣化は毎日パターン化して行うのがベストではありますが、どうしてもだめな場合にどうするかを先に決めておけば、すぐに立て直すことができるようになります。
『継続』では、この例外ルールが最初から組み込まれています。ざっくばらんにいうと、今日実行できなかったとしても明日2日分やればセーフという考え方です。当日に目標をクリアできなくても、次の日に前日分も入力することができるのです。
また、前述した通知機能は、前日分が未入力の場合にも表示させることができます。当日分・前日分の通知がそれぞれ別の設定にできるので、前日分の通知が表示されると危機感が増し、『ここで続けないともったいない』と思わせてくれます。私もこの機能で何度か挫折キャンセルができました。
アプリ『継続』の惜しいところ
データのバックアップ機能や引き継ぎ機能がない
『継続』には、データのバックアップや引き継ぎ(インポート・エクスポート)機能がありません。スマホを替えたら、過去の目標と達成の記録はなくなってしまいます。
機種変更後に過去の情報を残したい場合は、スクショなどで他のファイルとして残さなければなりません。
メッセージが見慣れたものになっていく
『継続』のナイスな応援メッセージは、通常版、『いい感じ』版、『中二病』版、の3種類があり、後者2つは有料機能です。また、コメントは経過日数ごとに固定されています。
継続化は何セットも繰り返していくのが理想です。が、繰り返した回数に比例して、だんだんと応援メッセージが見慣れたものになっていってしまいます。継続のチェック、という最も重要な機能には関係ない問題ですが、コメントを流し見して事務的に完了タップするようになってしまうので、少し寂しく思います。
個人的にあったらいいなあと思うのが、コメントの代わりにピクトくんが残り日数を教えてくれる、カウントダウンモードです。ランダムでナイスなポーズもしてくれたら、完了タップが少し楽しくなるんじゃないかなあと思います。
習慣化の期間に3ヶ月・6ヶ月も欲しい
『「続ける」習慣』では、習慣化の目標は3つの種類に分けられ、レベルにより習慣化するための期間が異なる、と書かれています。
- 習慣化レベル1:行動習慣
- 習慣化への期間:1ヶ月程度
日々の日課や行動習慣。勉強や日記、片付け、節約、など。 - 習慣化レベル2:身体習慣
- 習慣化への期間:3ヶ月程度
身体のリズムに関わる習慣。ダイエット、運動、早起き、禁煙など。 - 習慣化レベル3:思考習慣
- 習慣化への期間:6ヶ月程度
思考・正確に関わる習慣。ポジティブ思考、ストレス発散思考など。
『継続』で設定された継続の期間は30日で固定です。3セット、6セットと回せばいいだけではありますが、もし3ヶ月モードと6ヶ月モードがあれば、(書籍『「続ける」習慣』を参考にしたいなら特に、)より便利になるのに、と感じます。
(Android版のみ?)通知タップでアプリが表示されない
私の環境だけかもしれませんが、Android版の場合、スマホのリマインダー通知をタップしても無反応で、アプリ本体が立ち上がりません。通知を確認して、消し、改めてホームからアプリを起動するのは少々手間です。iPhone版は未検証のため詳細は不明。
2021年5月追記:現バージョン(1.7.0)では通知からのタップでアプリが起動するようになっています。
アプリ『継続』をおすすめするか
惜しい点をいくつか挙げはしたものの、どれも無理やり絞り出したもので、実用時にはさほど気になりません。
ルーティーンアプリを使ったけど多機能すぎて面倒になったとか、最初に張り切りすぎて結局ダメになってしまったとか、そういった経験があるなら、とにかくシンプルに続けることだけを追求した『継続』は特におすすめです。
ただ、個性的なアプリではあるので、合う合わないはあると思います。アプリの配布ページの紹介文や開発者さんの公式サイトを見た上で、よさそうと感じたら、ぜひ試してみてください。
また、できるなら参考書籍も読んでおけば、継続の成功率がぐんと上がるかと思います。『「続ける」習慣』のほか、『まんがで身につく 続ける技術』も参考にしているとのことです。
書籍もまた合う合わないの差が大きそうなので、『継続』を試してみて、継続する仕組みが有用だと思ったときに、手にとってみるのがよいのではないでしょうか。
習慣化できたら、アプリ『集中』もおすすめ
『継続する技術』では、30日間継続した後の記録は考えられていません。もし継続し、習慣化してからも記録したいのなら、他のアプリへ移行する必要があります。
移行先となるアプリのおすすめの一つが『集中』です。
『集中』はその名の通り、何らかの作業に集中するためのアプリです。作業の時間を設定→カウントダウン→終了後に集中時間とともに集中度を記録、というシンプルな作りをしています。
『継続する技術』と同じ開発者さんにより公開されているからか、『継続』とコンセプトが似ているので、自然に移行できると思います。
『継続する技術』を常用していても知らない仕様が一つ。継続できなかった場合にどうなるか。このアプリを使い出してから、どういうわけか『継続』に失敗したことは一度もありません。ありがたい限りです。
継続できた物事が全て習慣化したわけではありません。やってはみたけどもういいや、というケースもありました。逆に、100日経った今でも毎日続けられていることもあります。自身にとって必要なこと・ものを判断するのに、30日という期間はちょうどいいのかもしれません。